2025年4月22日、東京ドームで行われた中日ドラゴンズと読売ジャイアンツの一戦は、中日ドラゴンズが1-8で大敗を喫するという結果に終わりました。この試合結果を日本の戦国時代の武将たちの采配に照らし合わせながら、中日ドラゴンズの現状と今後の改革について考察します。
試合は序盤から巨人が主導権を握る展開となりました。1回裏、中日先発のマラー投手が制球難から四球を連発し、岡本選手のタイムリーヒットで2点を失います。 3回裏には、岡本選手に2ランホームラン、大城卓選手にソロホームランが飛び出し、計3点を追加されました。 中日打線は、1回表に岡林選手と細川選手がヒットでチャンスを作るも得点には至らず。5回表に中田選手がホームランで1点を返すのがやっとで、6回裏には勝野投手が吉川選手にタイムリーツーベースを浴び3失点。結局、中日打線は巨人先発の井上投手の前に4安打1得点に抑え込まれました。
敗因として、先発投手の不調（マラー投手の制球難と被安打）、打線の沈黙、中継ぎの失点、そして相手主砲（岡本選手）の活躍が挙げられています。特に、初回に無死一、三塁のチャンスで得点できなかったことが痛手となりました。
井上一樹監督は、この試合で大幅な打順変更を行い、上林選手や高橋周平選手をスタメンから外し、山本選手や村松選手を起用しました。また、先発のマラー投手の調子が上がらないと判断し、4回で交代させるという早い継投策を取りました。その後も、勝野投手、藤嶋投手、橋本投手と複数の投手を起用する継投策が見られました。しかし、早い段階で大差がついた試合展開に対し、勝負所での勝負強さは見られなかったと指摘されています。
織田信長流「状況即応」と「先手必勝」
織田信長は、状況に応じた柔軟な戦略転換を得意としました。もし信長がこの試合の監督であれば、マラー投手の不調をより早い段階（例えば1回終了時点）で見抜き、即座に投手交代を敢行し、試合の流れを変えようとしたでしょう。また、信長は「先手必勝」を重視したため、1回表の好機では送りバントではなく、得点を確実に挙げるための代打策や攻撃的走塁を指示したと考えられます。さらに、身分や出自にこだわらず能力で人材を登用した信長なら、調子の良い選手を積極的に起用し、3回裏に連続本塁打を打たれた後には、すぐにベンチの選手を活用した采配を行ったでしょう。常識にとらわれない革新性も持ち合わせていた信長ならば、大差がついた時点で、未来を見据えた若手投手の起用や守備位置の大胆な変更といった「実験的采配」に切り替えた可能性もあります。
武田信玄流「人の動きは呼吸に現れる」
戦国武将・武田信玄は「人の動きは呼吸に現れる」と説きました。この視点から見ると、初回に四球を連発したマラー投手は、投球リズムが乱れ、「迷い球」が目立っていたと言えます。信玄ならば、投手の投球フォームやリズムのわずかな変化から不調を察知し、早めの対応を指示したかもしれません。
北条氏政流「撤退判断の遅さ」からの教訓
4回5失点という状況でマラー投手の降板が遅れたことは、戦国武将・北条氏政の「撤退判断の遅さ」を彷彿させます。現代野球の基準から見ると、救援陣の展開速度が1イニング遅かったという指摘もあります3。状況が悪化した際には、損失を最小限に抑えるための迅速な決断が重要です。
徳川家康流「撤退戦における兵力温存・再編」
大量リードを許した状況での勝野投手、藤嶋投手、橋本投手の継投は、徳川家康の「撤退戦における兵力温存・再編」に近いと考えられます。勝野投手の登板には、「ここで失点を最小限に止められるか」という期待が込められており、今後の重要局面での起用可否を見極める「試験登板」の色合いが濃いです。藤嶋投手と橋本投手の起用は、すでに勝敗が決した状況で、次戦以降で使えるか・状態を確かめるテスト登板という意味合いが強いと言えます。家康が殿（しんがり）に信頼できる武将を置き損害の拡大を防いだように、勝野投手にその役割を期待し、また、撤退戦で若手や新戦力を実戦投入し次の決戦に向けて戦力を見極めた家康の姿勢は、藤嶋投手や橋本投手の起用法と重なります。
織田信長の戦略的思考を踏まえ、今後の中日ドラゴンズに必要な改革として、以下の点が挙げられています
打順の再構築: 固定観念にとらわれず、選手の特性を最大限に活かした革新的な打順を組むこと。例えば、出塁率の高い選手を上位に、長打力のある選手を中軸に据えるなど。
守備オペレーションの改革: 内野守備の安定感を高めるための選手配置や、外野の機動力を活かした守備範囲の拡大。捕手の役割分担を明確にし、攻撃的な試合展開と守備重視の試合で使い分けることも検討すべきです。
投手起用の革新: 先発投手の明確な役割分担（例えば「5回3失点以内」といった目標設定）や、勝利の方程式の確立による中継ぎ陣の負担軽減。また、大差がついた試合では積極的に若手投手を起用し、実戦経験を積ませる方針を徹底することも重要です。
データ分析と現場の直感の融合: 織田信長が情報収集を徹底したように、現代野球においてもデータ分析に基づいた戦略と、現場の監督やコーチの直感を融合させることが勝利への鍵となります。
2025年4月22日の中日ドラゴンズの敗戦は、先発投手の不調と打線の沈黙が大きな要因でした。井上一樹監督の積極的な采配も見られましたが、織田信長、武田信玄、北条氏政、徳川家康といった戦国武将たちの戦略や教訓から学ぶべき点は多くあります。特に、状況に応じた柔軟な戦略転換、人材の適材適所の配置、そして敗戦から学び次につなげる視点が重要です。中日ドラゴンズが「弱い」というレッテルを払拭するためには、戦国武将のような革新的思考と大胆な戦略転換が求められます。
今後の「【ドラゴンズ戦国譚】」シリーズでは、豊臣秀吉流の「人心掌握術」から見た選手起用論、徳川家康流の「長期的視点と忍耐」から見た若手育成論など、様々な角度から中日ドラゴンズを分析していく予定です。
