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【最新版】2025年5月 たばこ・加熱式たばこ・電子たばこをめぐる国内外の動向まとめ

たばこ

公開日:2025年5月23日

はじめに:2025年の「たばこ」を取り巻く空気感

世界的に喫煙率は減少傾向にある一方で、加熱式たばこ(HTP)や電子たばこ(Vape)の台頭で、たばこ産業は一概に縮小市場とは言えません。日本でも改正健康増進法の全面施行(2024年4月)を経て、飲食店・オフィスの喫煙ルールがほぼ定着しました。2025年は、税制・広告規制・世代規制といったテーマが議論の中心になりつつあります。

世界の最新トピック

① EU:使い捨てVape禁止へ向け最終調整

欧州委員会は2024年末、環境負荷と未成年使用増加を理由に「使い捨て電子たばこを2026年までに段階的に禁止する」方針を発表しました。2025年内に各加盟国で法制化が進む見込みです。

② WHO:FCTC第11回締約国会議(COP11)での決議

2025年2月開催のCOP11では、ニコチン含有量の上限設定とフレーバー規制強化を各国に勧告しました。日本はオブザーバー参加にとどまったものの、厚生労働省は「科学的エビデンスを踏まえ国内対応を検討」とコメントしています。

③ ニュージーランド:「スモークフリー世代」法案の撤回

2024年12月、政権交代の影響で2023年に成立した「2009年以降生まれへのたばこ販売禁止」を撤回しました。公共保健の専門家からは批判が上がる一方、「密輸や闇市場を抑制できる」との支持もあり議論が続いています。

日本国内の動向

① たばこ税の段階的引き上げ

  • 紙巻:2025年10月に1本あたり3円増税(1箱60円)予定
  • 加熱式:換算税率を紙巻の85%→90%へ引き上げ
  • 電子たばこ(ニコチンリキッド):依然として「薬機法」の壁で市販不可

② 広告・プロモーション規制の強化

厚生労働省は2025年4月、「加熱式たばこ広告ガイドライン(案)」を公開しました。店頭POP・交通広告・インフルエンサー投稿を対象に、健康影響や未成年訴求の表現を明確に制限するとしています。

③ 「屋外喫煙所」の再編

再開発エリアでは屋内喫煙ブース+排気処理装置がスタンダードになっています。自治体補助金(例:東京都・福岡市)が追い風となり、2024年度比で設置件数は約1.4倍(日本喫煙施設協会調べ)に増加しました。

④ JTのたばこ製品の販売終了と値上げ

2025年5月中旬以降、JTは加熱式たばこのデバイス「プルーム・エックス・アドバンスド」の販売を在庫がなくなり次第終了すると発表しました。この機種の販売終了は、今後の製品展開の見直しを示唆しています。また、2025年6月上旬からは紙巻たばこ3銘柄の販売も順次終了し、廃止される予定です。これも在庫の売り尽くし次第となっています。さらに、5月からは一部のたばこ製品の価格が値上げとなっており、例として「キャメル・クラフト・14・ボックス」が430円から450円に上昇しました。この動きは2027年からのたばこ全体の増税に先んじた措置として位置づけられています。

製品トレンド:加熱式&新型デバイス

発売月メーカー製品名主な特徴
2025/02フィリップ モリス ジャパンIQOS Iluma ONE 2.0Bladeレス構造は踏襲、充電時間を15%短縮
2025/03BATジャパンglo HYPER air+温度3段階切替、Bluetooth連携でパフカウント
2025/04JTPloom X SENSEスマホアプリで味覚プロファイルを自動調整

ユーザー調査(MMD研究所, 2025/04)によると、20〜39歳のHTP利用者のうち「紙巻から完全移行済み」が53.1%です。ただし二次喫煙問題や依存度は依然課題とされています。

健康影響の最新知見

① 長期加熱式ユーザーの肺機能変化(NEJM, 2024年11月号)

  • 対象:HTP利用歴3年以上の日本人1,200名
  • 結果:肺活量(FEV1)年平均低下率は紙巻喫煙者の約70%程度にとどまるが、非喫煙者との差は有意
  • 結論:「紙巻よりリスクは低いが“無害”ではない」

② Vapeのフレーバー添加物と心血管リスク(JACC, 2025年2月号)

バニリン系フレーバーを毎日使用した群で血中CRP値が有意に上昇。国内でもフレーバー規制論が再燃しています。

今後の注目ポイント(2025下期〜2026)

  1. 税制改正大綱(2025年12月) でのさらなる紙巻増税幅
  2. フレーバー規制:WHO勧告を受けた厚生労働省の動き
  3. 世代規制法案:超党派議員連盟が2026年通常国会提出を示唆
  4. 国内ニコチンVape解禁議論:医療用ニコチン製剤との整理が焦点

まとめ

たばこ市場は「縮小と多様化」が同時進行するフェーズに入りました。紙巻の減退はほぼ確定路線ですが、加熱式・電子たばこの技術革新と規制強化が綱引きを続ける構図は当面続きそうです。企業・自治体・ユーザーそれぞれが健康リスクと利便性のバランスをどこに置くか、2025年はまさに分岐点と言えるでしょう。

※本記事は公的機関の発表や学術論文を基に執筆しましたが、個々の健康状態に関する最終的な判断は医師等の専門家にご相談ください。