PR

【ドラゴンズ歴史絵巻】陰陽師の封印術に見る床田の完封勝利

中日ドラゴンズ

開催記録

・試合日: 2025年5月3日
・対戦相手: 広島東洋カープ
・試合結果: 広島 2-0 中日
・開催球場: マツダスタジアム
・観戦者数: 32,118人
・勝利投手: 床田寛樹(9回0失点)
・敗戦投手: 松葉貴大(8回2失点)
・セーブ投手: なし
・本塁打: なし
・イニングスコア: [中] 0 0 0 0 0 0 0 0 0 – 0 [広] 0 0 1 0 0 1 0 0 X – 2
・試合時間: 2時間0分
・対戦回数: 7回戦(広島3勝3敗1分け)

【試合概要】中日先発の松葉、広島先発の床田による投手戦となった。広島は3回裏、二死三塁から中村奨の右前適時打で先制。続く6回裏にも二死一、二塁から末包の左前適時打で追加点を挙げた。中日打線は床田の前に3安打に抑え込まれ、最後まで得点を奪うことができなかった。松葉は7回5安打2失点(自責1)と粘投したが、打線の援護なく今季2敗目を喫した。

【試合の感想】松葉投手が7回自責1と試合を作ったものの、打線が広島・床田投手を打ち崩せず完封負けを喫した。わずか3安打と沈黙し、好投の松葉投手を援護できなかった。次戦での打線の奮起に期待したい。

平安時代の陰陽師、床田の封印術

令和の世とは思えぬ古式ゆかしき投球術を披露し、中日打線を完全封印した床田寛樹投手。9回3安打無四球無失点の完封勝利は、まるで平安時代の陰陽師が繰り広げた「封印の術」を見るかのようであった。

平安時代、京の都で活躍した陰陽師たちは、鬼神や悪霊を封じ込める特殊な術を用いた。その筆頭である安倍晴明は、五芒星(ごぼうせい)の印を用いて様々な怪異を封じたと伝えられている。床田投手の投球は、まさにこの陰陽道の術に通ずるものがあった。今季6試合目の登板で自身2度目の完封。防御率は驚異の0.96を誇る好調ぶりは、かつて晴明が式神を操ったかのような精緻さである。

この日の床田投手は、左腕から繰り出されるボールに古代呪術のような力が宿っていた。中日打線の精鋭たちは、まるで式紙に封じられた妖魔のごとく、打席で力を発揮できずにいた。9回を通して被安打はわずか3本。四球を一つも許さない制球力は、陰陽師が結界を張り巡らせ、一切の邪気を寄せ付けない様を彷彿とさせた。

式紙による封印か、木下捕手の捕球技術

中日打線の主軸、ボスラーやカリステといった強打者たちが、床田投手の術前に為す術なく倒れていく光景は、まさに平安絵巻の一場面のようだった。

陰陽師は「式神(しきがみ)」と呼ばれる使役霊を操ることで、敵対する存在を封じ込めた。床田投手と坂倉捕手のバッテリーは、まさにこの「式神遣い」と「式神」の関係に似ている。坂倉捕手のミットに正確に収まるボールの一つ一つが、床田陰陽師の命を受けた式神のように中日打線を翻弄した。

対する中日の松葉投手も8回2失点と健闘。松葉の繰り出す技も古代日本の精緻な技術を思わせる精巧さがあった。しかし、この日は床田投手の封印術の前にわずかに敗れを喫してしまう。

松葉投手の曲線の軌道は、古来日本建築に見られる「木組みの技術」を思わせた。法隆寺の五重塔が千年以上も倒壊せずに立ち続けているように、松葉投手の投球術も長年の研鑽によって築き上げられた芸術のようであった。しかし、この日は3回と6回の僅かな隙に、中村奨成と末包昇大に安打を許してしまう。

封印を破りかけた上林の三塁打

7回表、ドラゴンズの上林誠知外野手が放った三塁打は、床田投手の結界をわずかに揺るがせた唯一の瞬間であった。これは陰陽道において「式破り(しきやぶり)」と呼ばれる対抗術に似ている。鎌倉時代に入り、陰陽道に対抗する「修験道」の山伏たちが、陰陽師の張った結界を破る術を編み出した歴史を思い起こさせる。

しかし、床田投手はその後、ボスラーの右飛、カリステの遊撃による併殺打で危機を脱した。これは「反転陰陽(はんてんおんみょう)」と呼ばれる術に似ている。危機を好機に転じる逆転の発想は、古来より日本人の知恵として伝わってきたものだ。

日本の古典『梁塵秘抄(りょうじんひしょう)』に「遊びをせんとや生まれけむ、戯れせんとや生まれけん、遊ぶ子供の声きけば、我が身さえこそ動がるれ」という一節がある。床田投手のマウンド上での所作には、まるで子供のように自由で、かつ研ぎ澄まされた集中力があった。これはまさに日本の芸道に通じる境地であり、「遊び」の中に最高の技術を昇華させる日本文化の真髄を見た思いであった。

千年の歴史が生んだ床田の封印術

床田投手の防御率0.96という驚異的な数字は、古代から連綿と続いてきた日本の「封じる技術」の結晶とも言える。陶磁器の釉薬(ゆうやく)技術、漆塗りの技術、そして建築における湿気や害虫を防ぐ知恵など、日本人は常に「封じる」ことに長けてきた。床田投手の投球術も、そうした日本古来の技術の系譜に連なるものと言えよう。

対する中日ドラゴンズは、この試合で5連勝とはならなかったものの、松葉投手の好投は今後につながる光明となった。松葉投手の縦横無尽の変化球は、鎌倉時代から続く「結界破り」の技術を思わせる。これは禅宗の思想にも通じる「型破り」の精神でもある。

打線が沈黙した中日だが、この試合で得た経験は必ずや次につながる。それはちょうど、平治の乱で敗れた源氏が、後の源平合戦で平家を倒すに至った歴史になぞらえることもできよう。一時の敗北が次なる勝利への道標となることは、日本の歴史が繰り返し示してきた教訓である。

現代に蘇る陰陽道の精神

床田投手の完封劇は、古代から現代に連なる「封じる技術」の見事な発露であった。平安時代の陰陽師たちは、天体観測や暦の作成によって時の流れを読み解き、最適な行動を見極めた。床田投手もまた、打者の動きを読み、最適な球種と配球で相手を封じ込めた。

この勝利で広島は7連敗を止め、新たな流れを生み出した。陰陽道では「気」の流れを重視するが、野球でも「流れ」を引き寄せることの重要性は変わらない。床田投手は己の技術を研ぎ澄ませることで、チームに勝利の「気」をもたらしたのだ。

我らがドラゴンズも、明日への糧としよう。古より伝わる「負けて学ぶ」の精神で、次なる戦いに備えたい。最後に、平安時代の歌人・紀貫之の言葉を借りれば、「しづ心なく花の散るらむ、我が心のをさまらぬ故に」。心静かに次なる戦いに臨むことが、ドラゴンズの勝利への道であろう。

床田投手の陰陽師のような封印術に敗れたこの日。しかし、我らがドラゴンズは必ずや「封印」を解く術を見つけ出し、次なる戦いで勝利をもぎ取ることであろう。古来より日本人は逆境を糧にしてきたのだから。